今でこそ、わのわ会は地域の困りごとを解決するために活動している団体として認知されるようになりましたが、2005年の立ち上げ当初はとにかく失敗の連続。私自身、わのわ会とはどういう団体なのか、どんな風に地域と関わっていくべきか……明確な答えが出せず、何度も、何度も、自問自答していました。
そんなわのわ会を支えてくれたのが、地域のお母さんたちです。彼女たちが、幼い子どもを育てながら私たちの活動に協力してくれたおかげで、わのわ会は少しずつ地域に馴染み、地域から求められる存在へと成長することができました。わのわ会が地域に新たな雇用を生みだす場となり、地域の経済発展に貢献できるようになったのは、間違いなく彼女たちのおかげです。
設立から10年以上が経過した今、彼女たちの子育ては少しずつ落ち着き、それぞれの家庭環境はもちろん、日高村全体の様子もずいぶんと変わってきました。新たに子育てをスタートさせた新米お母さんや、結婚を機に地元や都心を離れ、日高村へと移住してくる人が増えてきたように感じています。彼女たちの中には、同世代が少ない故に身近な相談相手がいなかったり、移住したばかりで人間関係がまだ築けていなかったりと、寂しさや孤独感を感じている人がいるかもしれません。時代が次の世代へと移り変わりはじめている今、わのわ会も次の段階へと進むタイミングがやってきたのです。
私たちの活動といえば、地域の人たちの困りごとを解決するため、たくさんの人たちと協力しながら村づくりをすること。それはこれからも、ずっと変わりません。そして、さらに進化していくためにも、ここで一度、原点に立ち戻ってみる必要もあると考えています。原点とは、「地域のお母さんたちのためにできることは何か」を考えること。例えば、新しいお母さんたちが抱える子育てや生活の困りごとを解決したり、移住してきたばかりでまだ地域についてよく知らないという家族の方々と一緒に新しいコミュニティを創出したり……「地域のお母さんたち」と一緒にやってきた私たちだからこそできることが、たくさんあるはずです。地域のためにできることは何か。地域の人々がいちばん求めていることは何か。これからもずっと模索し、その都度、私たちはその答えをカタチにしていきます。
2019年5月 わのわ会 理事長 濱田善久