2018.06.12
土佐のねずみ小僧こと「日下茂平」

【ラジオ放送のアーカイブより】

ラジオ深夜便 2018年6月12日 高知県 安岡 千春

梅雨に入りうっとうしい日が続いています。

 

今夜は、日高村にある鍾乳洞「猿田洞」の続きのお話です。
前回もお話したように、「猿田洞」は、日高村にある全長1400メートルあまりの洞くつです。ひんやりとした洞くつの中は、自然のままの地形が残り、スリル満点です。この「猿田洞」で修業したと言われる日下茂平についてお話ししたいと思います。

 

茂兵衛(茂平)は、今から約300年ほど前に日下村に生まれ(今の日高村)ました。この茂兵衛は、坂本龍馬の祖父、才谷屋六代目八郎兵衛直益(はちろべえなおます)の書いた「巡水日記」にも登場する人物です。

茂平は、貧しい農民の子として生まれ、大きくなると庄屋の屋敷へ奉公に出されました。庄屋には美しい娘がおり、ふたりは相愛の仲となりますが、身分の違いもあり、庄屋の怒りにふれて屋敷を追い出されてしまします。
悲しみに暮れた茂平は死に場所を求めて洞くつ「猿田洞」へ入っていきます。

そこで天狗(仙人)に会い、兄弟子の佐川市之丞(さがわいちのじょう)とともに修業に励みました。めでたく辛い修業を追えて、庄屋の屋敷に行くと厳しいねんぐの取りたてがおこなわれていました。

困っている農民を見かねて蔵から米を盗み農民に分け与えるようになり、高知の城下では、「困っている人を助けてやれ、さもないと ひどい目にあうぞ」と夜な夜な忍者が現れると妙な噂が流れ身に覚えのある商人は、良い事をし始めたそうな。

そして、市之丞とともに高知城に盗み入ったとき酒宴用の酒に手を伸ばし、不覚にも熟睡してしまいふたりは捕まってしまいます。
目が覚めるとふたりは縛られ、処刑されることに。

しかし、首をはねられようとするまさにそのとき、茂平はどろんとねずみに化け縄を食い切り、とんびに化けた市之丞に乗って空高く飛んで行きました。
その後、ふたりは人々の前に姿を現すことはなかったということです。

 

こういった人情味あふれる民話により、茂平は村民だけでなく高知県民に広く愛されたようです。庶民のアイドル「土佐のねずみ小僧」のおはなしでした。

 

※ 猿田洞をはじめ、日高村には茂平の墓や生家あともあります。

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